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ベリッシモ・フランチェスコが、「なかぶ庵 代表」中武義景氏に出会った。

 
  なかぶ庵 代表
手延べ製麺技能士

中武 義景
株式会社中武商店
住所 小豆郡小豆島町安田甲1385
TEL 0879-82-3669
FAX 0879-82-5808
http://shodoshima-nakabuan.co.jp
 
そうめん作りの工程は2日間。この工場で小麦粉に塩を混ぜて練り込む「おで作業」が行われ、麺生地を徐々に細くしながら表面にゴマ油を塗る。1pくらいの太さになったら初日終了。
  工場横の直売所には、なかぶ庵の商品がズラリ。主力商品はもちろん手延べそうめん。ゆずやオリーブを練り込んだものも。新商品の生そうめんも人気。直売所はちょっとお得な価格。
 

日本三大そうめん産地のひとつ、小豆島

 
世界にはバラエティに富んだ「麺」が存在する。ボクがこよなく愛する「パスタ」もその一つ。香川県といえば「さぬきうどん」が有名だと聞いたことがあるけど、もうひとつ、忘れちゃならない麺がある。それが「小豆島そうめん」だ。「小豆島は三大そうめん産地のひとつ。410年の歴史があります」と教えてくれたのは、そうめん製造工場「なかぶ庵」の代表、中武義景さんだ。
  「小豆島そうめんの美味しさは、独特のコシとつるっとしたのど越しですね」と中武さん。麺職人はその日の気温や湿度によって塩水の量やこね加減、熟成時間を微妙に変え、コシを出すという。麺生地を細めて重ね、また細めてと何度も繰り返し、少しずつ手で引き延ばすそうだ。どんな世界も、職人の卓越した技術と豊富な経験が支えているんだなぁ。
     
箸分けの終わったそうめんはハタにかけたまま約5,6時間、屋外や乾燥室で乾燥させ る。実はそうめん作りの最盛期は厳寒の季節。冬には島のあちらこちらでそうめんが 寒風にさらされる光景が見られるそう。
   
工程2日目は麺を細く延ばし、箸で分ける箸分け作業から風にさらしての乾燥、切断という流れ。なかぶ庵では箸分け体験も行っているそう。そうめんをより深く知るいい体験だ。
  延ばした麺をハタにかけて、箸分け作業開始。長い竹箸を麺と麺の間にスッとさし、いとも簡単に箸分けをしてみせる中武さん。麺が乾燥すると箸分け途中で麺が切れるので迅速な作業が重要。
  最初は麺が切れたりしないか心配でちょっと緊張。まるで麺が何本もあるように見えるが、実は全てつながった1本の麺と聞いて驚いた。乾燥後、19pの食べやすい長さに切ってできあがり。
 

仕上げ作業の箸分けにチャレンジ!

 
小豆島そうめんの特色のひとつが手延べの工程で麺の表面にゴマ油を塗ること。麺と麺がくっつくのと、乾燥を防ぐためだが、ゴマ油を使うのは小豆島だけ。「ゴマ油は風味がよい上、他の油よりも格段に酸化しにくいので麺の品質を保ってくれるんです」。実は小豆島には国内シェア1を誇るごま油メーカーがあるそうだ。小豆島はなんて「食」の豊かな島なんだろう!
  ボクは最終工程のひとつ「箸分け」作業に挑戦した。この工程でそうめん本来の細さまで延ばして乾燥の準備をする。箸分けは、交差してくっついている麺の間に竹箸を入れて麺を分ける作業のこと。箸を麺の間に慎重にすべり込ませたら、箸をグイッと右と左に動かす。すると重なっていた麺がスーッと分かれて細い細いそうめんになった。この作業、結構、爽快!
  「箸分けはスピードも重要。生地が乾燥して固くなると延ばせなくなるからね」と言われ、ちょっとスピードアップ。だんだん作業がリズミカルになってきたとほめられた。よし、この様子はボクのTwitterにもアップしちゃおう!箸分けが終わったそうめんは半日ほど天日にさらして乾燥させる。白いそうめんが風に揺れている光景は、のどかな小豆島によく似合うなぁとしみじみ・・・。
 
こちらがなかぶ庵でしか味わうことができない「生そうめん」。細い麺なのにしっかりとコシがある。「生そうめんのおいしさはプリプリ感とモチモチ感、そしてコシ」と中武さん。
  シンプルな食べ方だからこそ、そうめんはごまかしがきかない。ゆがいただけなのにこんなにうまいなんて!箸が止まらなくなった。中武さんが「いい食べっぷりだね」と喜んでくれた。
 

開発10年の新感覚そうめんはBuono!

 
さて、最後はお待ちかねの実食。今回、いただくのはなかぶ庵の新商品「生そうめん」。通常、そうめんは乾麺だが、生そうめんは麺同士がくっつかない程度に表面だけを乾燥させた、いわば半生の状態。元々は麺職人たちが仕事の合間に食べていたものだったが、乾麺とは違ったおいしさを持つ生そうめんをなんとか商品にできないかと研究を重ねたそう。その歳月はなんと10年だって!
  正直に言うと、ボクにとってそうめんはなじみのない食べ物。歯ごたえのあるアルデンテが好きなボクにはどうかな?と内心思いながらひと口すする。Oh!Buono!(おいしーいっ!)。現状に甘んじることなく、そうめんの新たな魅力を作りだした中武さんはすばらしい。パスタの国から来たボクも大満足!おいしすぎて中武さんに聞かれる前に言っちゃったよ。「おかわり、いいですか?」
     
 
 
 
生そうめん
 
内容量/価格 200g(2食用)×6袋/2,520円
特徴 プリプリと弾力のある麺のコシ、のどごしの良さ、そしてもちもち感!この新食感は今までにないおいしさ。そしてここでしか味わえないおいしさです。