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高松の夜を彩る南古馬場、その西の外れに位置するのが鍛冶屋町でスミス通りと呼ばれている。ブルラッテは東西100mほどの通りのほぼまん中辺りにあるツーフィートビル1階奥にある。オープンしたのは2008年。高松で最初のスペイン・バルと記憶している。壁にはオーナー夫婦お手製のアートが飾られ、天井からはアンティーク風のシャンデリアが下がり控えめに存在感を示している。カウンター奥に施された小さなタイルの装飾は、良いアクセントとなっておりセンスの良さがうかがえる。20人ほど座れるテーブル席とカウンター席が少々。気兼ねなく呑み喰いするにはちょうど良いバルだ。 |
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ブルラッテは、特に若い女性に人気がある。料理が美味しいのはもちろんだが、スペイン・バルならではの小皿で料理を提供するスタイルが好評なのだ。たくさんの種類を少しずつ味わいたい!そんな女性の気持ちに応えているわけだ。しかし、小皿といえどもほどほどに量がある上に、安い。例えば、5品盛られたタパスの盛り合わせが1000円。私の場合、このタパスの盛り合わせとワインで2時間は楽しめるし、お腹も程良く膨らんでくれる。しっかり食事したいと言う時は、カジョス(スペイン風の牛モツ煮込み)とパンを。特別な日には、少し贅沢をしてパエリアを頼む。 |
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ブルラッテの魅力は、気取らず、オシャレに、仲間と、わいわい、である。取材当日も店に入るなり懐かしい笑顔に出会った。早速合流し、店の一角を占拠することとなってしまった。昔話と料理談義に花を咲かせるうち、フランス人のジャンにとって隣国のスペイン料理はなじみ深い料理だろうと思っていたのが、そうでもないことに気がついた。ジャンは、スペイン料理で使うオリーブオイルの量に少し違和感を感じていたようだ。けれどもワインが1本2本と無くなっていくうちに、スペイン料理の美味しさに目覚めたようで、特にアヒージョ(オリーブオイル煮)には、感心しきりだった。 |
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ブルラッテの気さくな空気を創り出しているのは、オーナー夫婦の人柄だ。初めて訪れたジャンも、オーナー夫婦とカウンター越しに随分話し込んでいた。何故スペイン・バルを始めようと思ったの?自家製ピクルスはどう作るの?美味しい生ハムは?…ジャンからの質問攻めにも、にこにこ笑顔を絶やさず丁寧に答えるオーナー夫婦。2人は自分たちが旅して大好きになったスペイン料理を1人でも多くの人に食べてもらいたい、と話す。私は、南欧の日差しにも似た温かさを感じるオーナー夫婦から、料理以上のものをサーブしてもらっているように思う。きっとジャンもそう感じたに違いない。 |
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